人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Old archive


by itarufox
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

みやがわひろし/宮川 泰

Excite エキサイト : 芸能ニュース

管楽器の穏やかな抑揚から始まるイントロから、ほんの一瞬の間。
そして女性の美しいソロコーラスが始まる。
画面には赤くなった地球に落ちて行く遊星爆弾。

「宇宙戦艦ヤマト」の名シーンである。

小さい頃、「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」を聞いた。
西崎プロデューサーとの会話形式のライナーノートが入っており、
曲の作り方とか、狙いとか、どうやって作ったとかが解説されていた。
細かいことはぜんぜんわからなかったが、映画音楽・サウンドトラックって、
こう作るのかと思って、手ずれするまで読んでいた。

このアルバムで、作曲家・宮川 泰を知った。

これがよくて、私はアニメのサントラにお金を使うようになった。
もちろん「宇宙戦艦ヤマト」のアルバムも買った。

「さらば 宇宙戦艦ヤマト」では、「白色彗星のテーマ」が圧巻だった。
強敵としての存在感が現すパイプオルガンによる重厚な調べ。
「アンドロメダのテーマ」に表現される復興して行く地球。
その象徴たる新型戦艦アンドロメダ。明るいテーマ曲だった。

「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」の「ゴルバのテーマ」には驚いた。
敵のテーマ曲に使う楽器は、前作で使用したパイプオルガンのように、
迫力のある楽器だろうと思っていたのだ。

しかし、なんと、それはピアノコンチェルトだったのだ。
華麗なピアノのメロディが、ヤマトと敵要塞との戦いで流れるのだ。
これは、マクロスのリン=ミンメイにつながって行ったのだろうか。

「宇宙戦艦ヤマトⅢ」では、「太陽のテーマ」がポイントだった。
このⅢは、太陽の異常膨張によって、滅亡の危機に瀕する人類を救う、
というのが話のメインである。

そこで、そうなってしまう前の「母なる太陽」と「地球を滅ぼそうとする太陽」の
2つを1曲の中で見事にあらわしていたのだ。
実際のメロディは1つであり、アレンジの違いでどちらをも表現していた。

音楽を専らやっている人にとっては、「あったりまえじゃん」と言われるかもしれないが、
そういう人だって、最初にその「あったりまえ」を理解した瞬間があるはずだ。
それが、私にとっては、宮川先生の曲なのである。

他にもアニメのサントラは持っていたが、音楽としてはヤマトが抜きん出ていた。
今もそうだけど、当時は音楽を聞き分ける耳など全然持ち合わせていなかった。
けど、ヤマトが一番いいと思っていた。

そして、それらのアルバムには、次のような但し書きがあった。
「一つ一つの楽器の音を鮮明に録るには、別取りといって、バイオリンならバイオリンで
各パート毎に、マルチレコーダーーに録音して、後で合成すれば、鮮明な音になる。
しかし、このヤマトではあえて、そういう方法をとらず、オーケストラの演奏として
録音しているので、音がよくないところがあるがご了承ください。」

宮川先生が、他にどういう仕事をされたのかはわからない。

ただ、あの頃、良質の音楽を聴くことができたのは、
宮川先生のお陰だったとしみじみ思う。

謹んでご冥福をお祈りします。
by Itarufox | 2006-03-25 03:27 | 人/Personality